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多賀クリニック(白山市)ごしょうかい挨拶

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ご 紹 介

 病院にまだ慣れていない子や、予防接種だと分かっている子は、診察室の扉を開けたとたん大泣きになり「お母さん、お母さん」の連呼が始まります。それは診察室を出るまで続きます。「この1回の診察中に何回“お母さん”と呼ぶんだろうね」と言うと、お母さんは笑っています。そのときに思います、「この子は一生の中で何回“お母さん”と呼ぶんだろう」と。人が人生の中で最も多く使う言葉は“お母さん”かもしれませんね。

 小学校低学年の子どもたちがいろいろなことをきっかけに、学校へ行き渋り始めることがあります。時々相談を受けますが、原因探しをせず、お母さんとの接触を増やすことだけで改善します。お母さんとの関係が良くなると、他の面も引っ張られて良い方向に進むからです。お母さんの影響がいかに大きいかが分かります。

 子どもたちのことを一生懸命思って、一生懸命考えてやっている子育てに失敗はありません。ただ、一生懸命やっていても上手くいかないことがあるだけです。一生懸命やって、上手いくか否かの違いは、コツを知っているか否かの違いだと思います。コツを知っていれば、楽しい子育てができますよ。

 お母さんたちから「育児書を読んだら混乱して、なおさら迷った」とか、「インターネットで病気のことを調べたら、どれも当てはまって不安になった」というお話をよく聞きます。前者は、著者によって書き方が少しずつ違うので、読んだお母さんには大きく違って感じてしまうためと、どの本が自分にとって最適なのか判断がつかないことが理由でしょう。後者は、医師が「こんなこともある、あんなこともある」と並べ立てるので、お母さんは可能性・重要性の大小を選別できなくなるからだと思います。

 そこで私は“絶対不可欠の必要最低限”を目標に、平成22年から「たがのわ」という携帯サイトを始めました。大切にしたのは、「短い・読みやすい・こともあるを使わない」の3原則です。言いかえれば、ここに書いてあることが「家庭での子育て・子どもの病気への対応のコツ」です。これだけを守れば子育て・子どもの病気への対応はだいたい上手くいきます。ここに書いていない状況に至ったときには、センターや医療機関へ行って相談しましょう。

 私の文章や説明を読まれた方や講演会を聞かれたお母さん方によく言われるのが、「ホッとした」という言葉です。お母さんは皆さん頑張っています、子どもたちのために一生懸命です。もちろん、お父さんも他のご家族も同じです。子育ても子どもの病気への対応も、“基本的なことを丁寧に継続する”ことが大切ですから、基本的なことが守れればまずは十分なのです。親失格には決してなりません。「これだけで十分なんだ、これなら私にもできる」と感じられて、お母さん方はホッとされるのでしょう。

 このお母さんの「ホッとした」はとても重要です。お母さんがホッとすると、お母さんの表情が優しく柔らかくなります。すると子どもたちの表情も気持ちも緩み、リラックスするからです。それだけで、すべてが良い循環になり始めます。お母さん・お父さんが子どもたちを見ていると思っている以上に、子どもたちはお母さん・お父さんのことを見ています、感じています。

 日本の未来を創るのは子どもたちです。子どもたちが心豊かな子ども時代を過ごすことができれば、きっと心豊かな未来を創ってくれるでしょう。子どもたちに心豊かな子ども時代を提供するのが、お母さんとお父さんの親としての役割なのです。「子育て・子どもの病気への対応のコツ」を知っていれば、どなたでも楽しく素敵な“親時代”を過ごすことができると思います。


平成28年春寒 多賀 千之





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