こんな話があります。あるお母さんが子供に挨拶の大切さを何回も何回も言いましたが、その子供は近所の人たちにあまり挨拶をしていませんでした。高校時代にお母さんが亡くなり、やがて子供は社会人になりました。子供は社会での仕事の中で、挨拶をしっかりしないことで、人間関係がうまくいかない経験をし、ようやく挨拶の大切さを実感しました。 その時、その子供は、“ちゃんと挨拶しなさいね”と耳にタコができるくらいお母さんが言っていたことを思い出しました。取りようによっては、お母さんのしつけが成功したのです。 鷲田清一さんは著書『待つということ』の中で、「待たなくてよい社会になった。待つことができない社会になった」と書いています。 待つことができなくなるということは、社会のスピードがそれを許さないためでもあるのでしょうが、子供の成長も待てなくなったのでは、子育ての楽しみを放棄したことになります。 |