この絵本は「親の無償の愛」がテーマだと思います。しかし、小児科医としての私がこの絵本から読み取るもう一つのテーマは、「この木が動かない」ということです。木が動かずにずっとそこにいてくれるからこそ、この男の子はまた戻ってくるのではないでしょうか。 親は動揺せず、じっと動かずにいてあげることで、何もしなくても、子供たちが精神的動揺から戻ってくるように思います。むしろ、親が子供といっしょになって動揺するために、子供たちの精神的動揺は大きくなるのではないでしょうか。 この本は平成22年9月に、村上春樹さんの翻訳でリメイクされました。以前の本田錦一郎さんの翻訳とかなり感じが違っていますので、読み比べると面白いですよ。ちなみに、私は本田さんの翻訳の方が好きです。 |