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多賀クリニック(白山市)子育ての知恵袋112

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「子育ての知恵袋」 No.112

甘え直しの状態 満たしてあげて

<お母さんからの質問>


小学校一年生の兄の学校行しぶりに対して、「お風呂で一対一の時間をつくることと、『ありがとう』と口にする機会を増やすこと」という多賀先生の前回の回答通りにしてみました。

確かに、行しぶりは軽くなりましたが、抱っこが多くなり、オッパイを触ったり、赤ちゃん言葉を使ったりするようになりました。このまま続けて大丈夫でしょうか?


(6歳息子と1歳息子のママ)



<多賀先生のアドバイス>


甘え直しの状態になっただけですから大丈夫です。

もう卒業したはずの抱っこやオッパイをせがんだり、赤ちゃん言葉が自宅で出たりしていても、学校や友達の前では出ていないでしょう。

つまり、本人の意識の中に、これは自分のような年齢の子がすることではない、お兄ちゃんとしてふさわしくないという気持ちがあるからです。


お母さんに甘えるのを弟がいるために我慢してきたので、ここで一気に補充しようとするもので、甘え直しと言います。

お母さんが感じている以上に、子どもたちは我慢しているのです。


「アイデンティティー(自己同一性)」という言葉を提唱したアメリカ人の発達心理学者E・H・エリクソンは「人間には発達段階があり、おのおののステージに獲得しなければならない項目がある、それを満たさずに次の段階に上がることはできない」と言っています。


つまり、乳児期に基本的信頼関係を十分に獲得しておかないと、自立性を培う幼児期や自主性を培う児童期にスムーズに移行しないということです。

基本的信頼関係とは母子関係の安定です。

甘え直しというのは、お母さんが意識して急速充電してあげれば、本来のステージに戻りますから安心してください。


〔北陸中日新聞 令和3年6月17日掲載〕




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